Welcome to the section for 地図で読むアメリカ (The True Map of America), published by 朝日新聞出版 (Asahi Shimbun Publications). The co-authors of this book will frequently post updates regarding the region, new sources for reference, and answers to questions here. The newest post will be immediately below this heading.

朝日新聞出版の「地図で読むアメリカ」の情報へようこそ。共著者はここにて、新しい情報、参考資料、そして読者からの質問にお答えします。一番最新のものはすぐこの下にありますので、ご覧になっていただければ幸いです。

*読者の方々へ:本の内容についてご質問がございましたら、本サイトの “About” ページの “Contact” よりお寄せください。なお、全てのご質問には回答できない場合がございます。ご了承のほどお願い申し上げます。


[6] Where is the 100th meridian? 100経線とは?

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[5] 【対談】「『地図で読むアメリカ』を読む」

🗓 2020年 9月27日 (日) 16:00~

仏文学者の鹿島茂先生とジェームス・バーダマンの対談が YouTube で放送されます。

アメリカの地理、移民、大統領選挙にご興味ある方、ぜひご覧ください!

https://allreviews.jp/news/4974 

鹿島先生に書評を書いていただきました:allreviews.jp/review/4985


[4] Deep South と Upper South はどのように違うでしょうか?

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The gray section is the Upland South or Upper South.

The section below it, which is marked “plantation”, is what is called the Deep South. The latter is geographical, agricultural, and cultural.


[3] 第2次世界大戦中に日系人が全米講演旅行

第2次世界大戦中に約12万人の日系人がアメリカ本土10箇所の収容所に強制移住させられたことは、「サウス地域」、「ハートランド地域」「サウスウェスト地域」で折に触れ言及しましたが、これらの収容所を巡って講演旅行した比嘉トーマス太郎という人物について少し触れておきましょう。

比嘉はハワイ生まれの沖縄系二世です。真珠湾攻撃後、ハワイ日系二世で構成された第100歩兵大隊の兵士としてイタリアに派兵されます。砲弾破片を受けて重傷を負ったのちに戦列を離れ、アメリカ本土ジョージア州の陸軍病院で治療を受けた後、コロラド州の兵営に移り、25日間の静養旅行休暇を得ます。そこで、ある沖縄出身者に伴われ日系人強制収容所のひとつグラナダ収容所 (アマチ収容所とも呼ばれました) を訪れ、収容所から志願した二世兵士の親たちにヨーロッパ戦線の実情について講演します。

そのことがきっかけで、全米日系人市民協会 (JACL) に依頼され、全米での講演旅行が始まります。JACLは比嘉の貢献に対して次の様な感謝状を贈りました。

日本人を祖先にもつアメリカ人は鉄条網で囲まれた戦時収容所から戦場に赴いた。戦地での犠牲者は多大であった。・・・比嘉太郎上等兵は、訓練中や戦場での日系米兵に関する噂や、誤った情報を払拭することに多大なる貢献を果たした。全米各地を120日間にわたって旅したトーマス比嘉上等兵は73の講演において2万300人の聴衆を前に話した。80以上の新聞がとりあげ講演内容が紹介された。日本で教育を受けたため、比嘉上等兵の英語は十分ではなかったが、日本語の流暢さのおかげで素晴らしい講演者となった (筆者訳、以下省略)。(UCLA JARP Collection)

詳しくは細川周平編著『日系文化を編み直す―歴史・文芸・接触』(ミネルヴァ書房、2017年) の第8章「比嘉トーマス太郎の「巡講」―戦時下米大陸における講演旅行」にまとめましたので、ご関心のある方はこちらをご覧ください。比嘉太郎編著『ある二世の轍―奇形児と称された帰米二世が太平洋戦を中心に辿った数奇の足どり』(1982) にも詳しく述べられています。(森本)


[2] 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) アメリカでの反応

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の感染拡大とその影響が日に日に変化し、多くの情報が飛び交っています。国内の状況に追いつくことだけでも困難ですが、母国アメリカの現状を把握することはさらに難問です。日本に入ってくるアメリカについての報道は省略されているため、情報量も内容も限定されてしまいます。

そんな中、アメリカの詳細な状況が垣間見えるきっかけが二つあります。

一つ目は身近なところです。
私の弟の一人はコロラド州デンバーに住んでいます。アメリカ西部にある、ロッキーマウンテン国立公園から遠くないところにある大都市です。二週間前、その弟が新型コロナウイルスに感染したと妹からのメールを通して知りました。詳細はわからないが、重症で救急車で病院に運ばれたというのです。

その後は、日替わりで別の兄弟からメールでアップデートが入りました。ある時点では ICU (Intensive Care Unit = 集中治療室) で酸素を投与され、数日後、酸素は外されて、症状は重い状態でありながらも病院の別のセクションに移動になりました。のちに病室からラップトップ (ノートパソコン) を使い、彼自身が直接私たちにメールで状況を知らせてくれました。あまりにも症状が重く、「死んだ方が楽なのでは」と考えてしまうほどだったと綴られていました。

幸いなことに弟は死ではなく回復へ向かいました。二度の陰性の検査結果をもって退院となり、隔離生活が始まりました。彼と他の陰性患者は政府によってホテルに移され、6泊過ごすことになります。患者はその間部屋を出られず、一日三度食事が部屋まで届けられたそうです。さらに、National Guard (州兵) が廊下を行き来し、患者が部屋を出たり、他人が入室したりしないように監視していたというのです。

全て順調にいけば弟は自宅に戻れますが、仕事に復帰できる状態までに回復するのは先になりそうです。おそらく、健康な状態に戻るまでの苦難は数週間、もしくは数ヶ月かかるでしょう。

二つ目はネット経由で信頼できる報道機関が発信する情報です。
その中でも印象的だったのは、ミシガン州の抗議活動についてのニュースです。

政府による新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための外出禁止令に反発し、数千人が議会周辺に車で集結して抗議デモを行ったのです。参加者は長距離に渡って道路を妨げ、休業指示や規制内容に対して「厳しすぎる」「生活を妨害するな」と抗議しました。知事の指示は「unconstitutional (憲法違反) だ」とも抗議し、仕事と給料を返せと求めたのです。このデモに参加することでウイルスに感染するかもしれない。しかし、参加者にとってはウイルスより仕事と生活が心配なのです。

デモが起きた場所はインダストリアル・ノース地域にあり、『地図で読むアメリカ』では「北部の産業地」「ブルーカラー」「失業率が比較的高い」と説明しています。これらの特徴はこの出来事に顕著に現れました。
(デモについての日本語の記事:http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN21Y0O0.html)

日本でもニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事についてのニュースを目にしますが、彼が休業を要請すると、この危機的状況では「正しい判断だ」と州民の多くは賛同します。しかし、もし彼がミシガン州の知事だったとして、同じことをすれば、ミシガンの人々は怒りで抗議をするでしょう。

アメリカの一部の地域の声は、アメリカ全体の声を反映するわけではないのです。 


[1] フロリダ州の最南の大都会のマイアミは南部に入らない?

そうです。南部の文化、気候、経済、思想はフロリダ半島のなかばまで伸びます。マイアミは北部の投資家によって開発され、鉄道を引き、富裕層のために作られたのは20世紀初めでした。そこに住むようになった住民や観光客はニューヨーク、シカゴ、カナダから来他ので、伝統的な南部文化とは全くと言っていいほど関わりがありませんでした。今ではキューバ、ハイチ、中南米の移民が多くなり、どちらかと言えば、南フロリダ周辺は北部的気質と国際色豊かな地域となっています。